パーキンソン病の進行はどのくらいの速さ? ホーン・ヤールの重症度分類とあわせて解説

パーキンソン病の進行スピードには個人差があります。ホーン・ヤールの重症度分類と生活機能障害度の見方、そして進行を緩やかにするために今できることを、順番に整理します。

監修 池中 建介・大阪大学 神経内科学講座

「この病気は、どのくらいの速さで進むのだろう」——診断を受けたあと、多くの方が気にされることです。同時に、診察で「ヤールいくつ」という言葉を耳にして、その意味を調べに来られた方もいるかもしれません。

この記事では、進行のスピードの考え方と、重症度分類の見方を整理します。そして最後に、いちばんお伝えしたいことをお伝えします。

進行のスピードは人それぞれ。ただし共通して「ゆっくり」です

パーキンソン病は、進行性の病気です。ただし、その進み方は年単位でゆっくりであり、また人によって大きく異なります。同じ時期に診断された方でも、5年後の状態は同じではありません。

ですから、インターネット等で見かける「◯年でこうなる」という情報は、あなたの未来を予告するものではありません。まずはそのことを、頭の片隅に置いてください。

ホーン・ヤールの重症度分類とは

診察で使われる「ヤール」という言葉は、パーキンソン病の症状の程度を5段階で表した「ホーン・ヤールの重症度分類」のことです。体の片側だけか両側か、バランスを保てるか、日常生活にどの程度影響があるかなどを目安に分類します。

段階主な状態のめやす
Ⅰ度症状は体の片側のみ。日常生活への影響はほとんどない
Ⅱ度症状が体の両側に。姿勢を保つ機能は保たれており、日常生活は自分でできる
Ⅲ度姿勢を保つ機能に障害が出て転びやすくなる。活動は制限されるが日常生活に介助は不要
Ⅳ度起立や歩行など、日常生活の活動が制限される。介助が必要な場面が増える
Ⅴ度介助なしでの起立・歩行が難しく、ベッドや車いすでの生活が中心になる

大切なのは、この分類が「症状の程度を示す目安」であって、進行の速さや将来の予測を示すものではないということです。

もうひとつの指標「生活機能障害度」

ヤール分類とあわせて、厚生労働省の「生活機能障害度」という3段階の指標も使われます。こちらは「日常生活や通院に、どの程度の介助が必要か」という視点の分類です。

段階状態のめやす
Ⅰ度日常生活・通院に、ほとんど介助を必要としない
Ⅱ度日常生活・通院に、部分的な介助を必要とする
Ⅲ度日常生活に全面的な介助が必要で、自力での起立・歩行が難しい

この2つは、医療費助成の判定にも使われます

この2つの指標は、指定難病の医療費助成を受けられるかどうかの判定にも使われています。一般に、ヤール重症度Ⅲ度以上かつ生活機能障害度Ⅱ度以上が対象とされています(この基準に満たない場合でも、医療費が一定額を超えると対象になる仕組みがあります)。

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「いま何度なのか」よりも、大切な問い

ここまで分類の話をしてきましたが、いちばんお伝えしたいのはこの先です。

ヤール分類は、医師が治療方針を考えたり、公的な支援の要否を判断したりするための「ものさし」で、病気の症状の一側面を切り取っているに過ぎません。例えば、同じヤールⅡ度の方でも、仕事を続けている方、趣味を楽しんでいる方、暮らし方はさまざまです。ヤール分類は、あなたの人生がどの段階にあるかを示すものではないことを覚えていてください。

「いま何度なのか」より、「これから、どう過ごしていくか」。次の章が、その答えの手がかりになります。

進行を緩やかにするために、わかっていること

体を動かし続けること

運動を続けることは、運動機能を保つうえで良い影響があることがわかってきています。激しいトレーニングである必要はありません。散歩、ストレッチ、体操など、無理なく続けられるものを、毎日の生活の中に組み込むことが大切です。

パーキンソン病の症状を和らげるために適度な運動は必要か?

薬を、決められたタイミングで続けること

パーキンソン病の薬は、飲むタイミングによって効き方が変わることがあります。症状が落ち着いていても自己判断で減らしたり中断したりせず、飲みにくさや効き方の変化を感じたときは、次の診察で主治医に伝えてください。


まとめ:今日の生活リズムが、明日をつくる

  • 進行の速さには大きな個人差があり、共通しているのは「年単位でゆっくり」ということです
  • ホーン・ヤールの重症度分類(5段階)と生活機能障害度(3段階)は、症状の程度を示す目安です
  • この2つは医療費助成の判定にも使われます
  • 分類は治療方針を決めるためのものさしで、症状の一側面を切り取ったものにすぎません。あなたの人生の段階を示すものではありません
  • 運動の継続と、決められたタイミングでの服薬。この2つが、今日からできることです

「いま何度ですか」と主治医に聞くことは、もちろん構いません。あわせて「これから何を心がけるとよいですか」と聞いてみると、もっと役に立つ答えが返ってくるかもしれません。

寿命への影響については「パーキンソン病と寿命 — 「あと何年」ではなく、これからの時間の話」でご説明しています。

参考文献

  • 難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」
  • 厚生労働省「指定難病の要件について」
  • 日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」
医療監修 池中 建介/大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学講座

本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。

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