鉄の蓄積が認知症やパーキンソン病リスクに関与する可能性
アメリカ・Salk Instituteの研究チームは、加齢とともに神経細胞へ鉄が少しずつ蓄積すると、細胞がストレスへの抵抗力を失い、認知症やパーキンソン病につながる神経変性を起こしやすくなる可能性を明らかにしました。研究成果は学術誌「Cell Death Discovery」に掲載されました。
鉄は赤血球で酸素を運ぶヘモグロビンの材料となるほか、エネルギー産生や神経伝達物質の働きにも欠かせない重要なミネラルです。そのため不足すると貧血や認知機能の低下を招くことがあります。一方で今回の研究では、加齢に伴って神経細胞内へ鉄が長期間蓄積すると、防御機能が弱まり、神経細胞が傷つきやすい状態になることが示されました。
研究チームは、この新しい細胞の状態を「クロノフェロトーシス(Chronoferroptosis)」と命名しました。急激に鉄へさらされた細胞はダメージに耐えられた一方、長期間鉄にさらされた細胞では、すぐに細胞死は起こらなくても機能が徐々に低下し、神経変性疾患に弱い状態へ変化していました。また、実験では抗酸化作用を持つ「Ferrostatin-1」により、この変化を抑えられる可能性も示されました。
ただし、この研究はヒトではなく培養した神経細胞を用いた基礎研究であり、鉄分を多く摂取するとパーキンソン病や認知症になることを示したものではありません。現時点で健康な人が鉄分摂取を控える必要はなく、自己判断でサプリメントを中止することも推奨されません。今後、人を対象とした研究が進めば、神経変性疾患の予防や新しい治療法の開発につながる可能性があります。
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出典
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
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