「幽霊の脳科学」──怪異を“体験”として解く新視点

「幽霊の正体見たり、枯れ尾花」では説明しきれない——本稿は、幽霊の有無を問うのではなく、人が“幽霊を体験した”と語る現象をどう説明できるかに焦点を当てます。
紹介するのは脳神経内科医・古谷博和による『幽霊の脳科学』(ハヤカワ新書)。
著者は怪異譚を幻覚の「症例」として丹念に分析し、脳科学者は“ゴーストバスター”ではなく、幽霊と脳機能を結ぶ「仲人(Matching maker)」だと位置づけます。
民俗学者である評者は、幽霊の有無ではなく「体験が語られている」という確かな事実から出発する自らの態度と響き合う点を評価。
前近代の怪異には聴覚中心の事例が多いとされてきたが、暗闇でも鮮やかな幻を視認しうることに着目すれば、妖怪・幽霊の“視覚性”を脳科学的観点から再検討できると提案します。
一方で本書は“怖い”。
睡眠障害や強いストレスなどの条件がそろえば、誰もが「存在しないもの」と交流しうることを論じ、出来…

本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。

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