パーキンソン病で使える制度の見取り図 — 介護保険・障害者手帳・障害年金

※ 本記事の制度情報は2026年7月時点のものです。制度の内容は改正されることがあり、運用は自治体によっても異なります。詳しくは、それぞれの窓口にお問い合わせいただくか、各制度の公式サイトでご確認ください。


医療費助成のほかにも、パーキンソン病の方が使える公的な制度があります。ただ、それぞれ担当する窓口も、対象になる条件も違うため、全体像がつかみにくいのが実情です。

この記事では、パーキンソン病の方が使える主な3つの制度を整理します。今すぐ必要でなくても、「そういう制度がある」と知っておくだけで、必要になったときの動きが変わります。

パーキンソン病で使える3つの制度

制度何のための制度か相談する窓口
介護保険生活の支援やリハビリなどのサービスを使う市区町村の介護保険担当課・地域包括支援センター
身体障害者手帳各種の割引や福祉サービスを受ける市区町村の障害福祉担当課
障害年金働くことが難しくなったときの生活費を支える年金事務所・市区町村の年金担当課

制度によって、対象になる年齢や症状の程度、加入状況などの条件が異なります。ご自身が対象になるかどうかは、上の窓口や主治医にご確認ください。

介護保険:40歳から使えます

介護保険は65歳以上の方の制度というイメージがありますが、パーキンソン病は国が定める「特定疾病」にあたるため、40歳以上64歳以下の方も、パーキンソン病が原因で介護が必要になった場合には申請できます(症状の程度などの条件があります)。訪問リハビリ、デイサービス、住宅改修、福祉用具のレンタルなど、生活を支えるサービスを利用できます。申請にあたっては主治医の意見書が必要になります。

「まだ介護は必要ない」と感じる段階でも、地域包括支援センターに一度相談しておくと、必要になったときの動きがスムーズになります。

身体障害者手帳:できることが増えます

症状の程度によっては、身体障害者手帳の対象になります。手帳があると、税の軽減、公共交通機関の割引、福祉サービスの利用など、暮らしの負担を減らす仕組みを使えるようになります(受けられる内容は等級や自治体によって異なります)。申請には医師の診断書が必要です。

障害年金:働くことが難しくなったときに

症状によって働くことや日常生活が制限されるようになった場合、障害年金を受け取れることがあります。現役世代の方も対象になり得ます。

注意していただきたいのは、「初めて医師の診察を受けた日(初診日)」が重要になるという点です。初診日に加入していた年金の種類と、それまでの保険料の納付状況によって、受けられる年金の種類や条件が変わります。診断を受けた今の段階で、初めて症状を相談した医療機関と時期を記録しておくと、将来の手続きが進めやすくなります。

どの順番で検討すればよいか

診断されたばかりの段階では、まず医療費助成(特定医療費)の申請を検討するのが一般的です。そのうえで、生活のしづらさが出てきたら介護保険、症状が進んで日常生活や就労に影響が出てきたら手帳や障害年金、という順で検討していくことになります。

誰に相談すればよいか

制度ごとに窓口が分かれているため、「何を、誰に聞けばよいか」を先に知っておくと、たらい回しを避けられます。

相談したいこと相談先
何から始めればよいかわからない/制度全般通院先の医療ソーシャルワーカー(MSW)、難病相談支援センター
介護保険の申請、サービスの使い方地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当課
介護保険を使い始めたあとの計画・調整ケアマネジャー(介護支援専門員)
身体障害者手帳市区町村の障害福祉担当課
障害年金年金事務所・街角の年金相談センター、社会保険労務士
仕事を続けられるか、休職・復職のこと医療ソーシャルワーカー(MSW)、勤務先の産業医、ハローワークの専門窓口

それぞれ、次のような方たち・場所です。

医療ソーシャルワーカー(MSW) 病院にいる、生活やお金、制度の相談にのる専門職です。「医療福祉相談室」「地域医療連携室」などの窓口にいます。制度全体を見渡して、いまのあなたに合うものを一緒に整理してくれます。診察とは別に、多くの場合は費用がかからないかたちで相談できます(相談する際にご確認ください)。

難病相談支援センター 都道府県・政令指定都市ごとに設置されている、難病の患者さんとご家族のための公的な相談窓口です。「(お住まいの都道府県名) 難病相談支援センター」で検索すると見つかります。

地域包括支援センター 介護保険の入り口となる、市区町村が設置している相談窓口です。「まだ介護は必要ない」という段階の相談でも構いません。

ケアマネジャー(介護支援専門員) 介護保険のサービスを使うときに、どのサービスをどう組み合わせるかの計画を立て、事業所との調整をしてくれる専門職です。

ハローワークの難病患者就職サポーター ハローワークの専門援助部門に配置されている、難病のある方の就労を支援する専門スタッフです。就職の相談だけでなく、働きながら難病を発症した方が仕事を続けられるようにする相談にものってくれます。難病相談支援センターと連携しています(配置されているハローワークは各都道府県内の一部に限られるため、事前に問い合わせておくと確実です)。

社会保険労務士(社労士) 年金や労働に関する手続きの専門家です。障害年金は書類の準備が複雑で、とくに「初診日」の証明が難しいことがあります。障害年金を専門に扱っている社労士に依頼すると、手続きを代行してもらえます(この場合は費用がかかります)。まずは無料の年金事務所で相談し、難しさを感じたら社労士を検討する、という順序が現実的です。


まとめ

  • 使える制度は、介護保険・身体障害者手帳・障害年金の3つが柱です
  • 介護保険は40歳から申請できます。65歳以上だけの制度ではありません
  • 障害年金では「初診日」が重要です。今のうちに記録しておいてください
  • まずは医療費助成。その後、必要に応じて他の制度を検討する流れが一般的です
  • 迷ったら、まず通院先の医療ソーシャルワーカー(MSW)か、難病相談支援センターへ
  • 介護保険は地域包括支援センター、手帳は市区町村の障害福祉担当課、障害年金は年金事務所が窓口です

「困ったときに使えるものがある」と知っておくだけで、これからの見通しは少し立てやすくなると思います。

本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。

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