パーキンソン病の方が食事の際に注意すべきこと
パーキンソン病では、嚥下(えんげ)障害や便秘、栄養不足などの問題が起こりやすいため、食事の際にいくつかの工夫が必要です。「食べやすさ」「安全性」「栄養バランス」を考えた食事の工夫を取り入れることで、快適に食事を楽しむことができます。
✓監修 池中 建介・大阪大学 神経内科学講座食事の際に気をつけるポイント(基本)
食事の姿勢を正しくする
- 椅子に深く座り、背筋を伸ばし、顎を引く
- 足が床につくようにし、安定した姿勢を取る
- 食事中はできるだけ頭を前に傾けない(誤嚥防止)
注意:誤嚥(ごえん)を防ぐために、食後もしばらく姿勢を保つことが重要です。
食べるスピードをゆっくりにする
- 一口の量を少なくし、しっかり噛んでゆっくり飲み込む
- 口の中に食べ物が残っていないことを確認しながら食べる
注意:焦らずゆっくり食べることで、誤嚥のリスクを減らせます。
水分をしっかり取る(むせにくい飲み方を工夫)
- 「とろみ」をつけると、誤嚥しにくくなる(とろみ剤を使用)
- ストローを使うと飲みやすい場合もあるが、誤嚥しやすくなることがあるので注意
- 食事と一緒に水分を取ることで、食べ物をスムーズに飲み込みやすくする
注意:飲み込みにくい場合は、誤嚥防止のために「とろみ」をつけるのが有効です。
食べやすい食事の工夫
飲み込みやすい食事にする
パーキンソン病では、飲み込みにくさ(嚥下障害)や口の乾燥が起こりやすいため、食材の工夫が必要です。
- 水分を含んだ食品を選ぶ(ゼリー、スープ、あんかけ料理)
- パサつくもの(パン、クッキーなど)は避け、柔らかく調理する
- とろみをつけて飲み込みやすくする(味噌汁やお茶にとろみ剤を使用)
食べやすい食品の例
- 柔らかく煮た野菜(かぼちゃ、にんじん、じゃがいも)
- 豆腐や茶碗蒸し(口当たりがよく、飲み込みやすい)
- あんかけ料理(とろみがついて飲み込みやすい)
- ヨーグルトやプリン(喉ごしが良い)
食事の際の「むせ」を防ぐ工夫
- 食事中に「おしゃべりをしすぎない」(食べながら話すと誤嚥しやすい)
- 食べるときに頭を少し前に傾ける(顎を引く)(誤嚥防止)
- 飲み込みづらいと感じたら、一度「ゴクン」と空嚥下してから食べる
ヒント:嚥下(えんげ)障害がある場合は、無理せず「ミキサー食」や「ソフト食」にするのも良いです。
栄養バランスを意識する
タンパク質の摂取タイミングに注意
パーキンソン病の薬(レボドパ)は、タンパク質と一緒に摂ると吸収が悪くなるため、食事の時間を工夫することが大切です。
タンパク質とレボドパの関係
- レボドパは食後30分〜1時間ほど空けて飲むと吸収が良くなる
- 高タンパクの食事(肉・魚・卵・豆類)は、薬の時間とずらすと効果が安定しやすい
ヒント:食事のタンパク質が薬の吸収を妨げるため、「朝・昼は軽めのタンパク質」「夕食にしっかりタンパク質を取る」などの工夫も考えてみてください。
便秘対策のために食物繊維をしっかり取る
パーキンソン病では、腸の動きが遅くなるため便秘が起こりやすいです。食物繊維と水分をしっかり取ることで、便秘を防ぐことができます。
食物繊維が多い食品
- 野菜(ごぼう、キャベツ、ほうれん草)
- きのこ類(しいたけ、えのき)
- 海藻類(わかめ、ひじき)
- 豆類(納豆、大豆、おから)
- 果物(柑橘類、バナナ)
ヒント:水分をしっかり取ることも大切です(1日1〜1.5リットル程度が目安。ただし年齢などに合わせて調整してください)。
骨を強くする栄養素(カルシウム・ビタミンD)を摂取
パーキンソン病では、転倒しやすくなるため、骨折予防が重要です。骨を丈夫にするために、カルシウムやビタミンDを積極的に取ることが推奨されます。
カルシウムが豊富な食品
- 牛乳、チーズ、ヨーグルト
- 小魚(しらす、いわし)
- 大豆製品(豆腐、納豆)
ビタミンDが豊富な食品
- 鮭、さんま、いわし
- きのこ類(しいたけ、舞茸)
ヒント:日光を浴びることで、体内でビタミンDを合成することができるので、適度な日光浴も大切です。
食事のサポートグッズを活用する
手の震え(振戦)がある場合、食事の動作が難しくなることがあります。食事を快適にするために、以下のようなグッズを活用すると便利です。
- グリップの太いスプーン・フォーク(持ちやすいカトラリー)
- 滑り止め付きの食器(お皿やお椀が動かないようにする)
- 自動で震えを補正するスプーン(スタビライザー付きスプーン)
まとめ
パーキンソン病の方が食事の際に注意すべきことは、次の5つです。
- 姿勢を正しくする(誤嚥予防)
- 食べやすい形状にする(とろみをつける、柔らかく調理)
- レボドパの服用時間とタンパク質の摂取を調整する
- 便秘対策のために、食物繊維と水分をしっかり取る
- 骨折予防のために、カルシウム・ビタミンDを摂取する
医療監修 池中 建介/大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学講座
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
この記事をシェア
あわせて読みたい基礎知識
パーキンソン病とともに生きる毎日を、
生活のリズムから支えるデジタルコンパニオン
知りたい情報をあつめることから、薬・栄養・活動を「その日の時間」に合わせて整えることまで。患者さんとご家族の毎日を支えます。