ヒト脳の「ミニ臓器」をマウスへ 脳疾患研究に新たな一歩
ヒトのiPS細胞から作った神経細胞の塊「脳オルガノイド」をマウスの脳へ移植する研究が進んでいます。米スタンフォード大学のセルジュ・パスカ(Sergiu Pașca)教授らは、遺伝子操作によって大脳皮質の大半を欠くマウスにヒト脳オルガノイドを移植しました。細胞は生着してマウスの神経回路につながり、数カ月で約5倍に成長したといいます。
脳オルガノイドは、人の脳の発達や病気を研究するために作られる小さな立体組織です。培養皿の中だけでは外部から刺激を受けたり反応を返したりすることが難しいため、動物の脳に移植して神経回路へ組み込む研究が行われてきました。今回のモデルでは、大脳の欠けた部分を補うような成長も確認され、研究チームは認知症など脳疾患の研究への応用を計画しています。
パーキンソン病との直接的な治療効果を調べた研究ではありませんが、ヒト由来の神経細胞を生きた脳の環境で観察できる技術は、将来さまざまな神経疾患の仕組みを理解したり、治療候補を評価したりする研究基盤につながる可能性があります。ただし、今回の成果を患者への細胞移植治療と混同しないことが重要です。
さらに、人の脳細胞を動物へ移植する研究には倫理的な課題があります。オルガノイドが高度に発達した場合に意識を持ち得るのか、移植された動物の認知機能や行動がどこまで変化するのかなど、科学の進歩と並行して検討する必要があります。技術的な可能性だけでなく、どこまで研究を進めるのが適切かを社会全体で考える段階に入りつつあります。
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出典
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
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