パーキンソン病で気分が落ち込みやすい原因とは?
パーキンソン病の方は、気分の落ち込み(うつ症状)や不安を感じやすい傾向があります。これは、病気の進行による身体的な影響だけでなく、脳の変化や生活の変化が関係しています。
✓監修 池中 建介・大阪大学 神経内科学講座気分が落ち込みやすい主な原因
脳内の神経伝達物質の変化(生物学的要因)
パーキンソン病では、ドパミンが減少することがよく知られていますが、それ以外にもセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質も減少することが分かっています。
- ドパミンの減少 → 意欲の低下、楽しみを感じにくくなる
- セロトニンの減少 → 気分の落ち込みや不安を引き起こす
- ノルアドレナリンの減少 → 集中力や注意力の低下、ストレスへの対処力が低下
病気の進行による身体的な影響
パーキンソン病の症状が進行すると、思うように体が動かせなくなることがストレスや不安を引き起こす要因になります。
- 動作が遅くなり、以前のように自由に動けない
- 歩行の不安(転倒しやすい、すくみ足が起こる)
- 声が小さくなり、会話がしづらくなる
- 表情が乏しくなり、「無表情」と思われがちになる
生活環境の変化
パーキンソン病と診断されると、仕事や趣味、日常生活が以前と同じようにできなくなることが増えます。
- 仕事や社会活動を続けるのが難しくなる
- 家族や友人に頼ることが増え、申し訳なく感じる
- 趣味(スポーツ・楽器演奏・手芸など)が続けにくくなる
睡眠障害による影響
パーキンソン病では、睡眠の質が低下しやすいことが知られています。
- 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める
- レム睡眠行動障害(夢を見ながら体を動かす、寝言を言う)
- 早朝に目が覚めてしまい、疲れが取れない
薬の影響
パーキンソン病の治療薬には、気分に影響を与えるものがあります。
- ドパミンアゴニスト → 衝動制御障害(ギャンブル・買い物欲求など)が出ることがある
- レボドパ → 薬の効果の変動(オン・オフ現象)が気分の不安定さにつながる
- 薬が効いているとき(オン)と切れるとき(オフ)の気分の差が大きくなることがある
気分の落ち込みを和らげる方法
適度な運動をする
- ウォーキング、ヨガ、ストレッチなどの軽い運動は、気分を安定させる効果がある
- 運動をすると、ドパミンやセロトニンの分泌が促進され、気分が前向きになる
睡眠の質を向上させる
- 午後遅くのカフェイン摂取を控える(コーヒー・緑茶・紅茶など)
- 寝る前1時間はスマートフォンなどの光(ブルーライト)を避ける
- リラックスできる音楽やアロマを活用する
人と交流する機会を増やす
- 家族や友人と話す時間を作る(オンラインでも大丈夫です)
- 患者会やサポートグループに参加する
- 趣味や楽しめる活動を続ける
食事の工夫
- セロトニンを増やす食品(トリプトファンを多く含有)を取る(バナナ、ナッツ、乳製品、豆類など)
- ビタミンB群(脳の働きをサポートする)を摂取する(レバー、卵、納豆など)
気分が落ち込みすぎる場合は医師に相談する
ひとりで抱え込まないことが大切です
- うつ症状が長く続く場合、抗うつ薬や抗不安薬が有効なこともあります。
- 認知行動療法(CBT)などの心理的サポートも検討します。
まとめ
- 気分が落ち込みやすいのは、脳内の神経伝達物質の変化、身体的な変化、生活環境の変化、睡眠障害、薬の影響などが関係しています。
- 気分を安定させるために、「適度な運動」「良質な睡眠」「人との交流」「バランスの良い食事」を意識することが大切です。
- うつ症状が長く続く場合は、医師に相談し、適切な治療を受けることも検討しましょう。
医療監修 池中 建介/大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学講座
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
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