異常タンパク質を分解する酵素開発がALSとパーキンソン病治療に前進
米ワシントン大学セントルイス校の研究チームは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病の原因となる異常タンパク質を分解する酵素の開発を大きく前進させる新しい技術を発表しました。
研究成果は学術誌Molecular Cellに掲載されました。
神経変性疾患では、本来正しく働くはずのタンパク質が異常な形に折りたたまれ、脳や神経細胞内に蓄積することが知られています。パーキンソン病ではαシヌクレイン、ALSではTDP-43と呼ばれるタンパク質が代表的です。これらの異常タンパク質が神経細胞を傷つけ、病気の進行につながると考えられています。
研究チームが注目したのは、酵母が持つ「Hsp104」という酵素です。この酵素はタンパク質の塊を分解する能力を持ち、さらに正常な形へ再び折りたたむ働きも期待されています。
これまでもHsp104を改良して治療へ応用する研究は行われてきましたが、最適な酵素を見つけ出す作業には非常に時間と労力が必要でした。
今回の研究では、Hsp104に数千万種類もの遺伝子変異を加えた巨大なライブラリーを作製し、「ディープシーケンス」と呼ばれる高度なDNA解析技術を活用して、有望な酵素を一度に探索できる仕組みを開発しました。
従来は数百種類程度しか評価できませんでしたが、新技術では膨大な候補を短時間で比較できます。その結果、異常タンパク質を効率よく分解しながら、正常な細胞への影響を抑えられる新しいHsp104変異体が複数見つかりました。
研究責任者のメレディス・ジャクレル(Meredith Jackrel)教授は、異常なTDP-43やαシヌクレインの蓄積を減らすことができれば、神経変性疾患の進行を抑える可能性があると説明しています。
現時点では酵母や細胞レベルを中心とした基礎研究段階であり、実際の治療薬になるまでには長い年月と追加研究が必要です。しかし症状を和らげるだけでなく、病気の根本原因である異常タンパク質そのものを除去する治療法につながる可能性がある点で大きな注目を集めています。
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出典
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
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