パーキンソン病の治療に使用される主な薬の種類

パーキンソン病の治療は、ドパミン不足を補い、症状を緩和することを目的に行われます。現在、主に以下の種類の薬が使われます。

監修 池中 建介・大阪大学 神経内科学講座

薬の名前は「一般名(商品名)」の形で記載しています。実際にどの薬を使うかは、症状・年齢・進行度に応じて医師が判断します。

レボドパ(L-ドーパ)

最も効果が高い薬で、パーキンソン病の基本的な治療薬。脳内でドパミンに変換され、不足したドパミンを補う。

主な薬剤名
レボドパ+カルビドパ(ネオドパストン、メネシット)/レボドパ+ベンセラジド(マドパー、イーシードパール)
メリット
運動症状(震え、動作の遅れ、筋強剛など)を改善する効果が高い。古くからある薬で薬価が安い。
デメリット・注意点
長期間の使用で効果が不安定になり、「オン・オフ現象」や「ジスキネジア(不随意運動)」が出ることがある。食事の影響を受けやすい(タンパク質と一緒に摂ると吸収が悪くなる)。
高齢の方や、症状が進行している患者さんでも使用されることが多い。
ドパミンアゴニスト

ドパミンの受容体を刺激し、ドパミンと似た働きをする薬。レボドパより効果はマイルドだが、長期間の使用で「オン・オフ現象」が出にくい。

主な薬剤名
プラミペキソール(ビ・シフロール)/ロピニロール(レキップ・ハルロピテープ)→内服と貼り薬と両方あり/ロチゴチン(ニュープロパッチ) → 貼り薬
メリット
若年発症の患者さんに適している(レボドパの使用を遅らせるため)。貼り薬(ニュープロパッチ・ハルロピテープ)は消化管の影響を受けず24時間作用する。
デメリット・注意点
副作用として「眠気」「幻覚」「衝動制御障害(ギャンブルや買い物の衝動が強くなる)」が出ることがある。高齢者には慎重に使用(幻覚・妄想が出やすいため)。
若い患者さんや、レボドパ単独で治療したくない場合に使われる。
MAO-B阻害薬

ドパミンの分解を防ぎ、脳内のドパミン濃度を高める薬。レボドパと併用することで、効果を持続させる。

主な薬剤名
セレギリン(エフピー)/ラサギリン(アジレクト)/サフィナミド(エクフィナ)
メリット
軽度のパーキンソン病では、単独で使うことも可能(セレギリンとラサギリン)。レボドパの効果を延ばし、オン・オフ現象を抑える。
デメリット・注意点
チラミンを多く含む食品(チーズ、ワインなど)を大量に摂取すると血圧変動のリスクがある。抗うつ薬との併用は原則禁止(セロトニン症候群のリスク)。
レボドパの補助薬として使われることが多い。
COMT阻害薬

レボドパの分解を抑え、効果を持続させる薬。レボドパと併用して使用。

主な薬剤名
エンタカポン(コムタン)/オピカポン(オンジェンティス)
メリット
レボドパの効果が安定し、「オフ」の時間を短縮できる。1日1回の服用で済む(オピカポン)。
デメリット・注意点
レボドパの副作用(ジスキネジア、不随意運動)が出ることがある。
レボドパの効果を延ばしたい場合に使用される。
アデノシンA₂A受容体拮抗薬

線条体のアデノシンA₂A受容体を阻害し、ドパミン神経の機能を補助する薬。レボドパと併用して使用。

主な薬剤名
イストラデフィリン(ノウリアスト)
メリット
レボドパの効果を補い、「オフ」の時間を短縮できる。ドパミン作動薬とは異なる作用機序のため、相乗効果が期待できる。
デメリット・注意点
主な副作用として不眠、幻覚、ジスキネジアの悪化がある。
レボドパの効果が不十分な場合に追加されることが多い。
レボドパ賦活薬

ドパミン分解を抑制し、パーキンソン病の運動症状を改善する薬。レボドパと併用して使用。

主な薬剤名
ゾニサミド(トレリーフ)
メリット
レボドパの効果を補い、「オフ」の時間を短縮できる。詳細な薬の効く機序はわかっていないが、MAO-B阻害作用やドパミン作動性神経を活性化する作用があるとされている。振戦に効果があることが期待されており、レボドパで効きにくい静止時振戦に使用されることがある。
デメリット・注意点
主な副作用として眠気がある。
レボドパの効果が不十分な場合や「オフ」症状がある場合に補助療法として使用される。
ノルアドレナリン作動薬

「すくみ足」や「立ちくらみ(起立性低血圧)」を改善するための補助薬。

主な薬剤名
ドロキシドパ(ドプス)→低血圧対策に使用/ミドドリン(メトリジン)→低血圧対策に使用
自律神経症状が強い場合に使われる。
抗コリン薬(高齢者への使用は注意)

震え(振戦)を抑える作用がある。ドパミンとアセチルコリンのバランスを調整する薬。

主な薬剤名
トリヘキシフェニジル(アーテン)/ビペリデン(アキネトン)
デメリット・注意点
高齢者には副作用(幻覚、認知機能の低下)が出やすいため注意。
若年発症で振戦が強い場合に使われることがある。

まとめ

パーキンソン病の治療薬は、症状や年齢、病気の進行度によって組み合わせを考えることが重要です。どの薬を選ぶかは、年齢・症状・副作用のリスクを考慮して医師が決定します。

医療監修 池中 建介/大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学講座

本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。

この記事をシェア

あわせて読みたい基礎知識

診断されたばかりの方へ 診断されたばかりの方はこちら。見通し・治療・制度の情報を、読む順にご案内します。

パーキンソン病とともに生きる毎日を、
生活のリズムから支えるデジタルコンパニオン

知りたい情報をあつめることから、薬・栄養・活動を「その日の時間」に合わせて整えることまで。患者さんとご家族の毎日を支えます。

App Store Google Play