パーキンソン病の診断に用いられる検査
パーキンソン病の診断は、問診・神経診察を中心に行われ、補助的に画像検査などが実施されます。特定の血液検査やMRIだけで確定診断できるわけではなく、医師の総合的な判断が重要です。
✓監修 池中 建介・大阪大学 神経内科学講座問診・神経診察(診断の基本)
問診(症状の経過を詳しく聞く)
- いつから症状が出たか?(震え、動作の遅れ、歩行の変化など)
- どの部位から始まったか?(片側の手や足が先に影響を受けたか)
- 症状の進行具合はどうか?
- 非運動症状(便秘、嗅覚低下、うつ、不眠など)はあるか?
- 家族歴(親族にパーキンソン病の人がいるか)
- 服用している薬の確認(薬の副作用で起こるパーキンソン症状〈薬剤性パーキンソニズム〉の可能性を検証するため)
神経診察(身体の動きを詳しくチェック)
- 安静時の震え(静止時振戦)の有無
- 動作の遅さ(寡動)や筋肉のこわばり(筋強剛)があるか
- 歩行の様子(すり足歩行、歩幅の狭さ、突進歩行など)
- 方向転換や姿勢のバランスが取れるか
- 手の細かい動作ができるか(指をすばやく動かせるか)
画像検査(補助診断)
パーキンソン病は脳のMRIやCTで直接診断できる病気ではありませんが、似たような病気を見分けるために画像検査を行うことがあります。
脳MRI・CT検査
- 脳卒中や脳腫瘍などの他の疾患を除外する目的で実施。
- パーキンソン病自体にはMRIで特徴的な所見は見られないが、他の病気(進行性核上性麻痺、多系統萎縮症など)との鑑別に役立つ。
ドパミントランスポーターシンチグラフィー(DATスキャン)
- 脳のドパミン神経の働きを評価する検査。
- パーキンソン病ではドパミン神経の働きが低下しているため、その異常を確認できる。
- 脳血管性パーキンソニズム(小さな脳梗塞がたくさんできて起こる)や薬剤性パーキンソニズムとの鑑別にも有用。
- パーキンソン病以外でも、多系統萎縮症や進行性核上性麻痺などのいくつかの疾患でDATスキャンに異常がでてしまうので、他の検査や身体所見と合わせて判断。
MIBG心筋シンチグラフィー
- 自律神経障害の有無を調べる検査。
- パーキンソン病では心臓の交感神経が障害され、MIBGの取り込みが低下。
- レビー小体型認知症でも異常がでる。
- DATスキャンでは区別できなかった、進行性核上性麻痺や多系統萎縮症などとの区別が可能になる。
PET検査(ドパミン代謝の評価)
- 研究レベルでは有用だが、一般診療ではあまり行われない。
薬による診断(L-ドーパ試験)
- パーキンソン病の特徴として、「L-ドーパ(レボドパ)」という薬がよく効くことが挙げられます。
- L-ドーパを試験的に投与し、症状の改善があるかどうかを確認する。
- 改善が見られた場合、パーキンソン病の可能性が高い。
- ただし、進行した症例や類似疾患でも一時的に改善することがあるため、総合的な判断が必要。
鑑別診断(パーキンソン病に似た病気を除外する)
パーキンソン病と似た症状を示す病気(パーキンソン症候群)があるため、誤診を防ぐために慎重な診断が必要です。
| 病名 | 特徴 |
|---|---|
| 進行性核上性麻痺(PSP) | バランス障害が早期から強く、転倒しやすい。目を上に向ける動きの障害が特徴。頭部MRIで中脳という部分の一部が萎縮。 |
| 多系統萎縮症(MSA) | 自律神経症状(血圧低下、排尿障害)が強く、パーキンソン病の薬が効きにくい。MRIで基底核、小脳、脳幹という部分が一部萎縮する。 |
| 大脳皮質基底核変性症(CBD) | 片側の手足が使いにくく、動かそうとしても固まる。手の動かし方がわからない、手足がねじれる(ジストニア)、言葉をうまく話せない、などの症状が現れる。MRIでは片側の大脳の萎縮がみられる。 |
| 薬剤性パーキンソニズム | 一部の抗精神病薬、吐き気止め、胃薬(特にドパミン遮断作用のある胃薬)が原因。薬を中止すれば改善することが多い。 |
| レビー小体型認知症(DLB) | 認知機能の低下が初期から目立ち、幻視(はっきりした幻覚)が出ることが多い。パーキンソン病とはとても似ている疾患で、完全に区別することは難しい。 |
まとめ
パーキンソン病の診断は、問診と神経診察が最も重要であり、画像検査や薬の反応を見ることで確定診断を行います。
- 問診と神経診察(症状の評価、運動のチェック)
- 似て異なる疾患を除外するためのMRI・CT
- ドパミントランスポーターシンチ(DATスキャン)でドパミン神経の評価
- MIBG心筋シンチで自律神経の評価
- L-ドーパ試験で薬の反応を確認
「パーキンソン病かもしれない」と感じたら、脳神経内科を受診し、検査を受けることが大切です。
医療監修 池中 建介/大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学講座
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
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