細胞の掃除機能を回復するナノ粒子がパーキンソン病に新たな可能性
米シラキュース大学の研究チームは、パーキンソン病の原因の一つと考えられている細胞内の異常を改善する「酸性ナノ粒子」の研究成果を発表しました。研究結果は学術誌Advanced Healthcare Materialsに掲載されています。
細胞の中にはリソソームと呼ばれる小さな器官があり、不要になったタンパク質や老廃物を分解する「リサイクルセンター」の役割を担っています。しかしパーキンソン病では、このリソソームの酸性環境が弱まり、本来の分解機能が低下します。その結果、有害なタンパク質であるαシヌクレインが蓄積し、神経細胞の障害につながると考えられています。
研究チームは、細胞内に取り込まれると酸を放出する特殊なナノ粒子を開発しました。このナノ粒子によってリソソーム内部の酸性環境を回復させることで、本来の分解機能を再び働かせることを目指しました。
実験では、細胞モデルとショウジョウバエのパーキンソン病モデルを用いて検証が行われました。その結果、ナノ粒子投与後には有害なタンパク質の蓄積が減少し、神経細胞死が抑制されました。さらに運動機能の改善も確認されています。
研究を率いたジャーリウ・ゼン(Jialiu Zeng)教授は、この方法が単に症状を和らげるのではなく、細胞本来の老廃物処理能力を回復させる点に大きな特徴があると説明しています。また、アルツハイマー病など他の神経変性疾患にも応用できる可能性があるとしています。
さらに研究チームは、リソソーム機能の低下が病気の初期段階から起こる可能性に注目しています。将来的にはリソソームの酸性度変化を検出するバイオマーカー開発も進め、より早期診断につなげたい考えです。
一方で現段階はまだ基礎研究の段階であり、人への臨床試験は行われていません。今後は血液脳関門を効率よく通過できるナノ粒子の改良や大型動物での検証が予定されています。
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出典
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
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