炎症を抑える新ペプチドがパーキンソン病治療の可能性示す
ブラジルのサンパウロ連邦大学(UNIFESP)の研究チームは、パーキンソン病に関わる脳の炎症を抑える新たな治療候補として、「Ac2-26」というペプチドに注目した研究成果を発表しました。研究結果は学術誌「Neuropharmacology」に掲載されています。
パーキンソン病では、脳内でドーパミンを作り出す神経細胞が徐々に失われることで、手の震えや動作の遅れ、すくみ足などの症状が現れます。現在の標準治療であるレボドパは不足したドーパミンを補うことで症状を改善しますが、長期間使用すると効果が弱まったり、運動合併症が現れたりすることが課題となっています。
今回研究されたAc2-26は、体内で自然に作られるタンパク質「アネキシンA1」の一部を取り出したペプチドです。研究チームはパーキンソン病モデルマウスを用いて検証を行い、このペプチドが神経炎症を抑え、ドーパミン神経の変性を軽減することを確認しました。免疫染色の解析では、治療を受けたマウスでドーパミン神経がより多く保たれていました。
研究者らは、このペプチドがドーパミンを補充するのではなく、神経細胞を取り巻く炎症反応そのものを抑えることで脳を保護していると考えています。神経変性疾患では神経細胞だけでなく周囲の細胞も炎症によって傷つくため、このアプローチは従来治療とは異なる大きな特徴があります。
また今回の研究では、雌雄で病気の進行や治療反応に違いがみられました。雌のマウスは初期段階で運動機能が比較的保たれていた一方、雄では神経細胞の減少がより顕著で、Ac2-26による保護効果を確認しやすかったと報告されています。さらに、パーキンソン病様の変化が雌の生殖周期にも影響を与えることが示され、性差を考慮した研究の重要性も浮き彫りになりました。
今回の結果はまだマウスを用いた基礎研究段階であり、人への効果は確認されていません。しかし、症状を補うだけでなく病気の進行そのものを抑える可能性を持つ治療法の開発は、世界中で大きな課題となっています。研究チームは今後、すでに生じた神経障害を回復させる効果があるかどうかを調べる予定です。
パーキンソン病の治療は近年、細胞治療や脳刺激療法だけでなく、神経炎症を標的とする研究も活発になっています。今回の研究はその流れを支える基礎的な成果の一つとして注目されます。
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出典
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言・診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については主治医にご相談ください。
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