PD基礎知識病気の基礎

パーキンソン病の進行について

監修 池中 建介・大阪大学 神経内科学講座


パーキンソン病はゆっくり進行する神経変性疾患であり、個人差はありますが、一般的には数年から数十年かけて症状が進行していきます。進行のスピードや症状の現れ方は人によって異なりますが、病気の進行度を示すために、以下のようなステージ分類がよく用いられます。

パーキンソン病の進行ステージ

(ホーエン・ヤールの重症度分類)

パーキンソン病の進行度を大まかに把握するために、「ホーエン・ヤール(Hoehn & Yahr)の重症度分類」が使われます。

ヤールⅠ度

ヤールⅠ度:片側のみの軽い症状のイメージ
  • 体の片側にのみ症状が現れる(例:片手の震え、片足の動きにくさ)。
  • 日常生活への影響はほとんどなく、仕事や家事も通常通り行える。
  • バランスや歩行は問題なし。

ヤールⅡ度

ヤールⅡ度:両側に症状が現れ姿勢がやや前傾するイメージ
  • 両側に症状が現れる(左右両方の手足が影響を受ける)。
  • 姿勢が少し前傾し、動きが鈍くなる(寡動)。
  • バランスはまだ保たれており、転倒は少ない。
  • 日常生活に影響が出始めるが、基本的な動作は可能。

ヤールⅢ度

ヤールⅢ度:歩行や姿勢のバランスが悪化するイメージ
  • 歩行や姿勢のバランスが悪化し、転倒しやすくなる(姿勢反射障害)。
  • 動作がさらに遅くなり、手足のこわばりが強まる。
  • 介助なしでも生活できるが、仕事や家事が難しくなる。
  • 外出時には注意が必要。

ヤールⅣ度

ヤールⅣ度:補助器具や介助が必要になるイメージ
  • 自力での歩行が困難になり、補助器具や介助が必要になる。
  • 立ち上がりや方向転換が難しくなる。
  • 日常生活の多くの場面でサポートが必要になる。

ヤールⅤ度

ヤールⅤ度:介護が必要な状態のイメージ
  • 車椅子や寝たきりの状態になることが多い。
  • 介護なしでは生活ができなくなる。
  • 嚥下障害(飲み込みの問題)や認知機能の低下が進むことがある。

進行の特徴

パーキンソン病の進行には、以下のような特徴があります。

進行のスピードは個人差が大きいことを示す概念図

進行のスピードは個人差が大きい

進行が遅い人もいれば、比較的早く症状が進む人もいます。症状ごとに進む速さが違うことがあります(早期から飲み込みは悪くなるが、長く歩ける方もいれば、逆の方もいます)。

運動症状だけでなく、非運動症状も進行する

パーキンソン病は運動症状(震え、動作の遅れ、筋固縮など)だけでなく、便秘、嗅覚障害、うつ、不眠、認知機能の低下などの非運動症状も進行します。どの非運動症状が出現するかはひとそれぞれです。

症状の変化は波がある

一定の期間は症状が安定しているように見えても、突然進行することがあります。

進行を遅らせるための工夫

パーキンソン病の進行を完全に止めることはできませんが、以下の方法は直接的、間接的に症状の進行を遅らせたり、身体機能の維持・向上をさせることができます。

運動・食事・薬・診察・家族の5要素が組み合わさるイメージ

早期から適切な治療を受ける

レボドパやドーパミン作動薬などの薬物治療を適切に行う。早期から治療を受けている人と、遅れて治療を開始した人では、将来的な身体機能の維持が異なることが示されてきました。

運動療法を取り入れる

ウォーキング、ストレッチ、ヨガ、太極拳などが効果的。定期的な運動が進行を遅らせるという研究結果もある。

バランスの取れた食事を心がける

抗酸化作用のある食品(野菜、果物、ナッツなど)を積極的に摂取。タンパク質の摂取タイミングに気をつける(薬の吸収に影響を与えるため)。

専門医と定期的に相談する

定期的な診察を受け、症状の変化に応じた治療を受ける。

家族やサポートネットワークを活用する

家族や介護者と連携し、サポートを受けることが重要。

まとめ

先生(専門医)
パーキンソン病はゆっくりと進行する病気であり、運動症状と非運動症状の両方が影響します。進行度合いには個人差がありますが、早期治療や適切な生活習慣の維持によって、生活の質を長く保つことが可能です
ハルカ(理学療法士)
日々の工夫が、長く前向きに過ごす力になりますね。

医療監修

池中 建介

大阪大学 神経内科学講座